【ロサンゼルス=永沢毅】米国訪問中の安倍晋三首相は1日午後(日本時間2日午前)、ロサンゼルス市内で同行記者団と懇談した。夏に発表する戦後70年談話について「歴史認識は歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、これを前提に作成する」と述べた。先の大戦への反省や戦後の歩み、国際社会への貢献をめぐって世界に発信したい考えを強調した。
首相は歴代内閣の歴史認識に関して「戦後50年には村山談話、60年には小泉談話が出されている」と指摘した。1995年の村山富市首相談話と2005年の小泉純一郎首相談話は「植民地支配と侵略」や「心からのおわび」を明記している。首相は4月29日の米議会演説ではこれらの表現には触れなかったが、認識の基調は継承する立場を強調した。
日本が議長国として主催する16年の主要国首脳会議(サミット)の開催地については「(立候補している)8都市以外はない」と明言、6月にドイツで開くサミットまでに決めると強調した。「宿泊施設、会議場、交通アクセス、警備などあらゆる観点から検討中だ。いまの段階ではどこにしようか迷っている」と話した。三重県志摩市や長野県軽井沢町など8市町が名乗りを上げている。
首相は、安全保障法制を夏までに成立させると明言した米議会演説での発言は「初めてではなく、ずっと言ってきている。安保法制に触れたら『この国会で』というのは当然だ」と語り、今国会中の成立に重ねて意欲を示した。今後の日程として「5月半ばに関連法案を一括して提出できるよう与党と相談して詰めの作業をしている」と説明した。
自らの任期満了に伴う9月の自民党総裁選への対応をめぐっては「まだ先の話だから、まずは総裁選のことを考えるよりも、しっかりとこの国会で結果を出していくことに全力を尽くしたい」と述べるにとどめた。