【バクー(アゼルバイジャン東部)=中村亮】日中韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)は3日、アゼルバイジャンの首都バクーで財務相・中央銀行総裁会議を開いた。共同声明では域内の企業がアジア通貨を調達しやすいように支援を加速することを盛り込んだ。2国間の金融機関が自国の国債と相手国の通貨を交換できるようにする。
流動性の高い国債を担保にすれば金融機関はアジア通貨を機動的に調達できるようになり、取引先の企業は短期の運転資金を確保しやすくなるという。企業が急に現地通貨が必要になった場合などに金融機関が提供しやすくなる。現在は国債を担保にする資金取引はアジアでほとんどない。
国債と通貨を同時交換するには中央銀行などが決済システムを相互接続する必要がある。会議ではシステム対応が進む2国間でまず相互接続を始め、その後、多国間に広げていく方向になった。
国債の用途拡大には各国の思惑もからむ。日本は邦銀や海外の金融機関に長期保有を促す狙いがある。国債の安定消化につなげる。関係者によると国債の担保利用に最も積極的なのは中国だ。国債の取引など資本規制は将来的に緩める方向。中国国債の用途拡大は人民元の国際化にもつながるとみられ、「中長期的な視点で取り組んでいる」(関係者)という。