大阪市を5つの特別区に分割する「大阪都構想」を問う住民投票まで1週間に迫った。京都大大学院の藤井聡教授(公共政策論)ら研究者は9日、市内で説明会を開き、約160人の市民らに「(構想で)街づくりの手続きが煩雑化する」と懸念を示した。構想を推進する大阪維新の会も集会などで賛成を訴えた。
藤井氏は市中心部を走る国道、御堂筋を整備するケースを例示し、現在、市単独で担っている事業の計画・実施を、構想実現後は府が所管し特別区も参加する点を指摘。「(整備対象が2つの区にまたがる場合は)2特別区の議論も必要になる。利益相反になれば順調に進まない」と述べた。
関西学院大の冨田宏治教授(政治学)は、議会でいったん否決された協定書(構想案)が維新と公明党側の交渉で可決に至った点を問題視。「熟議なしで住民投票に持ち込まれた」と批判した。
一方、維新も市内各所で街頭演説。橋下徹代表は「大阪市は今のままでは衰退する。反対派は解決策を出さない」と訴えた。藤井氏らの批判に対しては、松井一郎幹事長が「(道路整備など)大きい仕事は府で一元的にやる。東京都でももめていない」と反論。住民投票までの経過も、別の維新幹部が「法的に問題はない」と主張した。