シャープが14日発表した2015年3月期の連結決算は、最終損益が2223億円の赤字(前の期は115億円の黒字)と2期ぶりの最終赤字となった。液晶工場の資産価値を引き下げるなどの構造改革で赤字額が膨らんだ。同日発表した18年3月期までの中期経営計画では業績改善に向けてカンパニー制を導入し、国内で3500人規模の希望退職に踏み切る。
売上高は前の期に比べ5%減の2兆7862億円だった。液晶テレビなどの販売不振に加え、競争激化でスマートフォン向けの中小型液晶パネルの納入価格が下落した。巨額の赤字計上で自己資本が毀損し、経営の安定性を示す自己資本比率は1.5%と1年前に比べて7.4ポイント低下した。
危機的な状況になった財務の立て直しへ資本支援を仰ぐ。優先株を発行し、みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行からそれぞれ1000億円、投資ファンドから250億円の合計2250億円の出資を受ける。1218億円ある資本金は5億円に減らして累積損失を一掃し、将来の復配や追加の増資に備える。
国内の希望退職を含め世界で約4万9000人いるグループ人員を1割程度減らすなどで、16年3月期に約285億円の増益効果を見込む。大阪市にある本社の土地・建物も売却する。10月から事業部門を「液晶」や「家電」など5つの社内カンパニーに再編し、環境変化に柔軟に対応できる組織体制にする。
新たな経営体制では高橋興三社長は留任し、通信システム事業を担当する長谷川祥典氏が代表権のある取締役専務執行役員に昇格する。5人いた代表取締役は2人に減る。14日の記者会見で高橋社長は「新しい中期計画を途中で投げ出すことなく、遂行するのが自らの経営責任だ」と話した。
16年3月期の連結売上高は前期比微増の2兆8000億円、営業損益は800億円の黒字(前期は480億円の赤字)を見込む。最終損益の予想は開示しなかったが、1000億円程度の赤字になる公算が大きい。