政府の教育再生実行会議(座長・鎌田薫早稲田大総長)は14日、各都道府県・政令指定都市が実施している教員採用選考のうち、筆記試験は全国共通にすることなどを求める提言を安倍晋三首相に提出した。文部科学省は中央教育審議会(中教審)に検討と年内の答申を求め、制度設計を進める方針だ。
教育再生実行会議の提言は7回目。情報化や国際化の進展に伴い、次期学習指導要領には子供の課題解決力の育成などが盛り込まれる予定で、こうした指導を充実させるためには教員の養成・採用・研修の一体改革が必要だとした。
そのため、各都道府県や政令市がそれぞれ行っている教員採用選考について、筆記については国が中心となって共通試験を実施し、各自治体が結果を活用できるようにすることを求めた。各地の教員研修拠点を充実させる必要性も指摘。具体的には独立行政法人の教員研修センター(茨城県つくば市)の機能強化などを想定している。
このほか教科書のデジタル化の推進、世界最高水準の教育力と研究力を備えた「卓越大学院(仮称)」の設置なども提言した。卓越大学院は特定分野で高い実績をあげる大学院を中心に、民間企業や海外の研究機関と連携することを想定。イノベーションの創出や起業家精神を備えた人材育成などにつなげる狙いがある。
下村博文文科相は教員採用選考での共通筆記試験について「(試験の)負担が大きいとする自治体の意見を聞き、検討したい」と述べた。
教員採用を巡っては、自民党の教育再生実行本部が12日、教員免許を国家資格に格上げする内容を安倍首相に提言。大学での教職課程後に全国共通の国家試験を行うことを想定しているが、今回の教育再生実行会議の提言には盛り込まれていない。