大阪市を廃止して5つの特別区に分割する「大阪都構想」の是非を問う住民投票は17日投開票され、反対70万5585票、賛成69万4844票の僅差で否決された。大阪市は存続する。都構想を推進した橋下徹市長(維新の党最高顧問)は記者会見で、12月までの市長任期を全うしたうえで政界を引退すると表明。同党の江田憲司代表も辞意を明らかにした。
記者会見する大阪維新の会の橋下代表(17日、大阪市北区)
大阪市選挙管理委員会は18日午前、選挙会を開き、大阪都構想の協定書(構想案)の否決を正式に決定した。橋下氏は同日、午前11時すぎに市役所に登庁する予定。その後、市幹部らを集めた会議に出席し、都構想の住民投票の結果や今後の市政運営方針などについて触れるとみられる。
橋下氏は否決を受けた17日の記者会見で「重く受け止めている。しっかり説明できなかった僕の力不足だ」と敗因を述べた。そのうえで「市長任期までは(市長を)やるが、それ以降は政治家をやらない」と語り、任期満了後、政界を引退する考えを示した。
江田氏も18日未明、大阪市内で記者団に「橋下氏を引退に追い込んだ責任を痛感している。このような事態を招いた責任はしっかりけじめをつける」と述べ、党代表を辞任する考えを表明。松野頼久幹事長は党執行部が総退陣し、近く代表選を実施すると明らかにした。江田氏は後任に松野氏を推す意向を示した。
維新には代表選のルールを定めた規則がない。19日の執行役員会で代表選の実施に向けた対応を協議する。
維新の混乱は、国会運営や憲法改正で協力を期待していた安倍政権の政権運営に影を落とす。政府・与党は安全保障関連法案を来週にも衆院で審議入りしたい考えだが、維新の状況次第では日程に影響が出かねない。憲法改正でも慎重姿勢の民主党の発言力が増すことで、野党の協力を得るのが難しくなる可能性がある。
2016年夏の参院選を見据えた野党再編の動きにも影響する。民主党の枝野幸男幹事長は18日午前、国会内で記者団に「再編が自己目的化してはいけないが、政策が共通する仲間がいれば連携、協力する」と述べた。民主党内からは「民主党が再編の主導権を握れるようになった」(中堅)との見方が出ている。