名古屋大医学部は20日、トヨタ自動車と連携し、同社の品質管理手法を医療現場に採り入れるための医師向け講座を10月に開講すると発表した。トヨタグループ関係者を講師に招き、患者の安全を守るための組織運営や機器の扱い方、医療事故発生時の適切な対応などの習得を目指す。
講座ではトヨタの品質管理担当らが問題発生時の要因分析や再発防止の手法について指導する。トヨタ流は欧米の医療現場ではすでに導入例があるという。また、受講者同士の情報交換や事例共有を支援し、成果を医療界全体に広げるネットワークづくりも進める。
名大の松尾清一学長は同日の会見で「医療の質を具体的に『カイゼン』し、患者の満足度を高める効果が期待できる」と述べた。
講座はメーンコースで140時間。今年の募集定員は10人程度だが、来年以降は拡大し、18年度までに100人の受講を見込む。文部科学省の補助事業のため受講費用は不要。名大は開講に先立ち、9月にシンポジウムも開催する。