武田薬品工業が降圧剤「ブロプレス」の広告に臨床研究データを不適切に使っていた問題で、厚生労働省が同社に対し、医薬品医療機器法(旧薬事法)で禁じる誇大広告に当たるとして、業務改善命令を出す方針を固めたことが22日、分かった。会社側の弁明を聞いたうえで、最終的に判断する。武田薬品は「当社としてコメントできることはない」としている。
臨床研究は京都大などのチームが2001~05年に実施し、武田薬品が37億5千万円の資金を提供した。高血圧の患者約4700人を対象に、ブロプレスと別の薬で脳や心臓の病気の発症を抑える効果を比較した。
統計的に明確な差がなかったにもかかわらず、武田薬品はブロプレスの方が効果があるようなグラフなどを広告に掲載。別の広告には、適応が認められていない糖尿病にも効くかのように印象づける表現があった。
問題は昨年2月、臨床研究の論文のグラフと同社の広告のグラフが異なると専門家が指摘して発覚。武田薬品が設置した第三者機関と京都大の第三者委員会はいずれも、データの捏造(ねつぞう)や改ざんはなかったとしている。