【シンガポール=吉田渉、北京=大越匡洋】中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の首席交渉官会合が22日午前、シンガポールで終了した。出席者によると、設立当初の資本金を従来予定していた500億ドル(約6兆円)から1千億ドルに倍増することで基本合意した。参加国が57カ国へと大幅に増えたことに伴い、発足当初から資本を厚くして信用力を高めることをめざす。
第5回となる今回の首席交渉官会合は20日から始まった。全参加国が一堂に会する会合は今回で原則終了し、参加各国は6月下旬に北京で設立協定を締結したうえで、年内の運営開始をめざす。
会合終了後、出席者の一人は、設立当初の資本金を1千億ドルに倍増する案について「その通りになった」と述べた。AIIBの運営を決める各国の投票権は基本的に出資比率に応じて配分し、最大の出資国である中国は全体の25%以上の投票権を確保する見込みだ。
AIIBの規約案では、出資比率の変更など重要議題の決定では「4分の3以上の賛成が必要」といった条項も検討しているとみられる。この場合、中国は重要事項の決定で事実上の拒否権を握ることになる。