心と体の性が一致しない「性同一性障害」の当事者に配慮するなどの理由で、性別欄のない印鑑登録証明書を発行する市区町村が31都道府県の183自治体に上ることが23日、当事者団体が総務省に照会するなどした調査で分かった。
市区町村は全国に約1740あり、1割強に当たる。団体は「理解が進んできたがまだ不十分。引き続き不要な性別欄の削除を求めていきたい」としている。
調査したのは「日本性同一性障害と共に生きる人々の会」(東京)で、大半が2013年7月時点のデータ。
都道府県別で最も多かったのは東京都の38自治体で、愛知の19、埼玉の18、北海道と長野の各15、神奈川の13などが続く。政令市は仙台、新潟、神戸、広島など12市。
大阪府豊中市は今年2月、当事者の要望を受けて性別欄を削除。市民から批判や不便を訴える意見は出ていないという。
総務省が市区町村に通知した事務処理要領では、印鑑登録証明書は氏名や住所などとともに「男女の別」が登録事項。同会は「男女の別」を不記載とするよう要領の改定を要望しているが、同省は「自治体の意見を聞いて取りまとめたもので直ちにやめられない。各市区町村が運用の中で対応しており、それぞれの判断になる」としている。〔共同〕