箱根山(神奈川県箱根町)の活発な火山活動は、地下のマグマから発生するガスが一時的に周辺の岩にブロックされ、その後一気に解放されたことで起きたとする分析結果を東海大の大場武教授(火山化学)らが23日までにまとめた。
マグマ周辺の岩には通常、ガスが通り抜けできる穴があいているが、地下水などで運ばれた鉱物が大きく成長して穴をふさぐ「目詰まり」が起きたとみられる。
大場教授は「蓄積されたガスが出尽くせば、火山性地震は終息するだろう。マグマに変化は起きておらず、マグマ噴火の可能性は低い」と話している。引き続き水蒸気噴火の恐れはあるという。
大涌谷周辺から出る水蒸気にはマグマで発生するガスと、マグマの近くを通る地下水が熱せられてできる水蒸気が混ざっている。長期にわたりこの水蒸気の成分を調べている大場教授によると、今年2月~4月24日にかけ、マグマから来るガスの比率が下がっていた。この比率は5月8日になって急上昇した。
マグマを取り囲むように、ガスを通さない岩の層が形成されたと考えられる。ガスが閉じ込められ内部の圧力が上昇、その後この層に穴があき、4月26日以降の火山性地震や激しい蒸気の噴出につながったらしい。
箱根山では2013年8~10月にも同様の変動があり、その後に地震が増加した。
成果は千葉市で開かれる日本地球惑星科学連合大会で25日に発表する。
箱根山は、5月3日に火山活動が活発になってきたことを示す「解説情報」が出され、6日には噴火警戒レベルが1から2に引き上げられた。〔共同〕