東京都の豊洲市場の土壌汚染問題で、土地所有者だった東京ガスが2001年の交渉当初から、対策工事後も「汚染が残る」と都に伝えていたことがわかった。売却後の一定以上のレベルの汚染処理については「都の負担」を求め、都側が困惑する記録も残っていた。責任や費用分担をめぐる都と東ガスの認識がすれ違ったまま、売却交渉が進んでいた。
築地市場の豊洲移転問題
都議会の調査特別委員会(百条委員会)に東ガスが提出した都との交渉資料から明らかになった。
東ガスは元々、土地売却に消極的だったが、01年7月、都と市場移転を進める「基本合意」を締結。東ガス側が「事業性に影響し、非常に重要」とした土壌汚染対策の範囲について、基本合意に合わせて両者で結んだ確認書で、主に都条例が求める範囲にとどめ、「拡散防止を目的」とすることで一致していた。
だが、3カ月後の同年10月31日にあった打ち合わせ記録では、両者の認識の違いがあらわになった。都中央卸売市場部長らが「東ガス工場由来の汚染は、すべて環境基準までの対策が行われる」との認識を示すと、東ガス側は「処理レベルがかなりかけ離れている」と反発。進めている対策は「汚染中心部の除去」などと説明し、こうした工事は「(都知事本部と)確認書で確認した」とした。
東ガス側はこの時、自社による対策工事後も「環境基準を超えた場所が存在する」と明言していた。「都条例の『拡散防止』の観点からは覆土などで問題ない」との立場だった。
こうした主張に対し、都側は「…