道庁は26日、人口減少問題対策本部の会合で、将来の人口展望を盛り込んだ「北海道人口ビジョン」の骨子案を示した。2040年の道内人口は最も厳しい前提だと441万人で、10年から109万人減るとの見通しを明らかにした。また、地方創生に向けて今後5年間の施策をまとめた「北海道創生総合戦略」の骨子案も提示した。道庁は道議会とも議論しながら10月までに人口ビジョンと総合戦略を策定する。
道庁が独自に人口展望を試算するのは初めて。人口ビジョンは(1)合計特殊出生率が40年までに人口が維持される水準の2.07まで上昇、(2)合計特殊出生率が15年に2.07まで上昇、(3)現役世代の社会増減がゼロで均衡、(4)首都圏など都市部への人口流出が継続――の4つの仮定で試算した。
10年の人口はいずれのケースも550万人が基準となる。前提条件が最も厳しい(4)のケースでは、人口流出に歯止めがかからず減少幅は109万人と最大になる。60年には357万人となり35%も減る見込み。出生率の改善や若者の流出を防ぐ仕組みづくりが急務となる。
総合戦略は高橋はるみ知事の選挙公約や人口減問題の取り組み指針などを踏まえ主要な施策を盛り込んだ。重点戦略は「道産食品輸出1千億円」「外国人観光客300万人」など5つを柱とした。
雇用創出や観光振興、子育て支援、人材育成などのメニューで人口減を食い止め、道内経済の活性化につなげる狙いだ。産学官などが参画する協議会を創設し、政策実現を目指す。
高橋知事は会合で「道庁の総力を挙げてすべての政策手段を投入し、スピード感を持って進めなければいけない」と道幹部に指示した。人口ビジョンと総合戦略は国が自治体に策定を求めており、戦略の内容によって交付金の規模に差をつけるとしている。