鹿児島県屋久島町の口永良部島・新岳の爆発的噴火に伴う全島避難で、同町の荒木耕治町長は31日記者会見し、一時帰島を2、3日以内にも実施する方向で関係機関と協議する意向を表明した。規模は消防団員ら最大で約10人になる見通しという。火山の活動状況や天候を見極めて最終判断する方針だ。
避難した住民には「ペットを残してきた」「家に鍵を掛けていない」など、一時帰島を望む声が多い。荒木町長は「要望に応え、梅雨に入る前に天候を見定めてやらないといけない。私はやろうという方針」と説明。島に入った人が分担し、各世帯を回る案を検討している。県は「町から協議の要請があれば、国や専門家の助言も踏まえて対応する」としている。
町は避難者の住まい確保にも着手。今週末を目標に、町内の公営住宅や旅館、民宿に移動してもらう案を軸に調整し、対象人数や希望の調査を進める。屋久島にある旅館や民宿などのうち16施設が受け入れ可能で、空き家の提供を申し出ている人もいるという。
町幹部は「避難所生活が長引くと精神、身体によくない。(避難から)1週間が限度だろう」と説明。全島避難は長期化の可能性が高く、住まいの確保で生活環境の改善を急ぐ。入居や宿泊の費用は行政が負担する。
町は避難した小中学生を屋久島の学校で6月1日から受け入れ、初日は授業を見学する。
町によると、屋久島の避難所3カ所には、31日午後6時現在で64人が身を寄せている。
噴火当時、口永良部島には137人(うち19人は旅行などの一時滞在者)がいたが、いったん避難所に入った後、町内の親類を頼ったり、鹿児島市などに移ったりする人も増えている。
31日午後、フェリーで屋久島を出た松本章さん(71)は「妻がいる広島市へ行く。公民館は至れり尽くせりで逆に申し訳ない。長期化するかもしれないので帰る」と話した。松本さんは62歳の時、口永良部島に魅せられ単身で移住したという。〔共同〕