映像作品の一場面。九つの画面で物語と音声が同時進行するシーンもあり、観客の混乱を誘う=香川県・直島
アートの島として国内外に知られる香川県・直島で、異色の記録映像作品が話題になっている。開催中の瀬戸内国際芸術祭に出展された作品の一つで、タイトルは「歴代町長に現町長を表敬訪問してもらう」。全国の霊媒師を島に招き、呼び寄せた歴代直島町村長の霊と、現在の浜中満町長(59)が対面する。
福武財団が運営する直島町の宮浦ギャラリー六区で9月4日まで上映されている。手がけたのは愛知県出身のアーティスト丹羽良徳さん(33)。7月18日にあった作品の開幕式典では、明治中頃に初代直島村長を務めた三宅しゅん(しゅんはくるまへんに「盾」)吾さんの霊が、霊媒師を介して「どうか楽しんでいってください」とあいさつした。
作品は約1時間。東北、名古屋、大阪などの霊媒師5組がそれぞれ町長室を訪れる。16代15人のうち、子孫や親族の了解が得られた7代6人の霊をさまざまな手法で呼び寄せる。
「苦労話など聞かせていただければ」。浜中町長が丁寧に質問すると、「空襲だとか大変だった」と答える。なかには「自分で背負いこんで何をやっているんだ!」と突然説教を始める霊も。浜中町長は「そんなことないんですが」と苦笑するばかり。丹羽さんが浜中町長に出演を依頼したり、霊媒師に「直島の霊はしゃべらない」と協力を断られたりする場面もある。
丹羽さんは「現代を生きる人か…