30日に小笠原諸島で震度5強を観測した地震で、震源から遠く離れた場所でも高層ビルなどを大きく揺らす「長周期地震動」が関東を中心に観測された。この地震動では通常の震度が小さくても高層ビルの上層階で大きな揺れになることがある。家具の固定などで備えることが必要だ。
気象庁によると、地震波はさまざまな揺れの「成分」を持っており、ガタガタという短い周期の揺れのほか、ゆっくりとした長い周期の揺れもある。これが長周期地震動で、地震の規模が大きくなるほど発生しやすい。短周期の揺れより衰えにくいため、遠くまで伝わるという特徴がある。
建物にはそれぞれ揺れやすくなる「固有周期」があり、高層建築物は長い固有周期を持つ。長周期地震動の周期と一致した場合、共振することで特に高層階では大きく揺れるという。
マグニチュード(M)9.0の2011年の東日本大震災では、震源域から数百キロ離れた大阪市内の最大震度は3だったが、大阪府咲洲庁舎(55階建て)が10分間にわたり大きく揺れ、内装材などが壊れた。
気象庁は13年から長周期地震動の観測情報を試験的にウェブサイトで公表。今回の地震では、長野県中部や神奈川県東部などで長周期地震動の「階級2」を観測。宮城県から大阪府にかけては「階級1」を観測した地域があった。
気象庁は階級2について「物につかまらないと歩くことが困難」、階級1は「ブラインドなどが大きく揺れる」などとしている。揺れの大きさによっては家具の転倒や移動のほか、エレベーターの停止の恐れもあるといい、日頃からの心構えも重要だ。〔共同〕