31日午後0時35分ごろ、滋賀県東近江市福堂町の運動公園で開かれていた「東近江大凧(おおだこ)まつり」で「100畳大凧」と呼ばれる縦13メートル、横12メートル、重さ約700キロの大だこが落下した。複数の観客が下敷きになるなどして4人が救急搬送され、堺市の吉井淳一さん(73)が意識不明の重体となった。
他の3人のうち滋賀県愛荘町の男性(78)は胸の骨を折る重傷で、京都府宇治市の男児(7)と大阪府枚方市の男性(62)も打撲などの軽傷を負った。東近江署は実況見分し、業務上過失傷害の疑いもあるとみて関係者から事情を聴いた。
たこ揚げを指揮した東近江大凧保存会や東近江市によると、たこは約200メートルの高さまで揚がった数分後、急に傾き、数十人が座って見ていた公園のバックネット付近に落下した。4人も近くにいたとみられる。
会場では立ち入りを禁じる規制エリアが設けられ、当初は落下地点も対象だったが、当日の観客の流れを見てエリアから外していた。たこの動きに合わせて市職員らがあらためて規制しようとしたが、落下までに間に合わなかったという。
小椋正清市長と保存会の中村章副会長は市役所で記者会見し謝罪。中村副会長は落下の原因として、上空で想定以上の強い風が吹いて失速したとみられることに加え「揚げる直前に骨組みを補修し、バランスが崩れたかもしれない」と述べた。「もう少し早く規制エリアを広げれば、けが人は出なかった。申し訳なかった」とも語った。
落下を目撃した男性(70)は「たこが風にあおられ突然落ちた。『バリバリ』というすごい音がした」と振り返った。
現場はJR東海道線稲枝駅の西約6キロで琵琶湖岸に近い。彦根地方気象台によると、琵琶湖周辺は風が強く午後0時36分に強風注意報を出した。
東近江の大だこ揚げは江戸時代から続き、国の無形民俗文化財に選ばれている。まつりは毎年この時期に開かれ、今年は約3万人が訪れていた。〔共同〕