口永良部島・新岳(鹿児島県屋久島町)の爆発的噴火で屋久島に避難した住民の代表ら約30人が1日午前、口永良部島に一時帰島した。住民らは各戸を巡回し、電化製品のコードを抜くなどの防火・防犯対策のほか、家畜の様子を確認。29日の噴火後に住民が島に入ったのは避難後初めて。
「ありがたくて泣きたい」。住民代表らは1日午前、緊張した表情で島に続々と上陸。屋久島に残った住民から託された要望に応えるため、無人になった家や田畑へと急いだ。
緊急時の支援のため、自衛隊と県警、国土交通省のヘリコプターや、海上保安庁の巡視船が出動し、帰島を見守った。
住民代表らは漁船3隻に分乗し、午前8時半ごろ屋久島の一湊港から出発した。うち住民は約10人。いずれも男性で、消防団員や畜産農家、教員ら。ほかに町職員や九州電力関係者も同行した。2隻は住民の多くが住む本村地区に入り、1隻は島東部の湯向地区に停泊。
一時帰島は住民の要望を受け、屋久島町が検討していた。町幹部によると、2日以降は梅雨入りが予想され、長期間の帰島ができなくなる恐れがあるため、1日午前に決めた。
同町の荒木耕治町長は出発前、消防団員らに「今しかチャンスはない。十分に注意し、限られた時間の中でたくさんのことをこなしてほしい」と呼び掛けた。
船に乗り込んだ男性は「もう、ありがたくてね……。泣きたいです」と感極まった様子。「飼っている豚に餌をあげたい」と言い残し、手を振りながら港を後にした。
湯向地区の畠喜人さん(57)は「他の人からガスの元栓や戸締まりの確認などを頼まれている。島のために頑張ってやってきたい」と慌ただしく準備。「島の様子を見ることができれば、ちょっとは気持ちが楽になる」と心情を吐露した。
一方、鹿児島県の伊藤祐一郎知事は1日、屋久島の避難所3カ所を訪れ、住民を激励した。〔共同〕