衆院平和安全法制特別委員会は1日午前、安倍晋三首相らが出席し、安全保障関連法案の集中審議を開いた。首相は自衛隊による米軍などへの後方支援が可能となる「重要影響事態」について、中東やインド洋での軍事的緊張や武力衝突の発生を例示し「日本の船舶に深刻な影響が及ぶ可能性があり、かつ米国などが対応するために活動している場合は該当することはあり得る」と述べた。
民主党の玄葉光一郎氏への答弁。
現行法の「周辺事態」は事実上、日本周辺での活動が対象だったが、安保法案の重要影響事態では地理的な制約を撤廃する。首相は5月28日の審議で重要影響事態の活動地域について南シナ海を否定しなかった。地域を具体的に示したのは初めて。1999年に当時の小渕恵三首相は中東やインド洋で周辺事態発生は「想定されない」と答弁していた。
首相は審議の冒頭、28日の同委で民主党の辻元清美氏の質疑中に「早く質問しろよ」とやじを飛ばしたことについて「重ねておわび申し上げる。真摯に対応していく」と謝罪した。浜田靖一委員長が政府側に「不必要な発言は厳に慎むようにお願いしたい」と注意したのを受けた。
中谷元・防衛相は自衛隊の活動拡大に伴う隊員のリスクについて「攻撃を受けない安全な場所で活動することは従来といささかの変更もなく、リスクを高めるとは考えていない」と改めて強調した。「リスクが増える可能性があるのは事実だ」と指摘した自民党の岩屋毅氏への答弁。
首相は「法制面と運用面の取り組みを車の両輪として安全確保をしっかりはかっていきたい」と語った。公明党の遠山清彦氏への答弁。
民主党の後藤祐一氏は岸田文雄外相に周辺事態の概念を改めてただしたが、議論がかみ合わなかった。後藤氏は政府見解を文書で提出するよう浜田委員長に要請した。