【ニューヨーク=杉本貴司】米国で新車市場の勢いが増してきた。2日まとまった5月の米新車販売台数は163万5090台と前年同月比1.6%増えた。5月の実績としては過去最高を更新した。ガソリン安の恩恵を受けやすい大型車がけん引し、2015年通年では14年ぶりに1700万台を超えるとの見方が広がっている。
15年は5月の営業日数が14年より1日少なかったが、10年ぶりの高水準となった14年5月の販売実績を超えた。
1日あたりの販売台数を年率換算した数値(季節調整済み)は1779万台となり、単月でみると05年7月以来の高い水準となった。当時は経営難に陥っていた米自動車3社が社員向け割引価格を一般消費者にも広げる異例の販売戦略に出ていた。
好調が目立ったのが大型車だ。小型車が多い「乗用車」は3.7%減ったのに対し、ピックアップトラックやSUV(多目的スポーツ車)など大型が主体の「小型トラック」は6.8%増えた。
米フォード・モーターは大型車の工場で夏季休業を短縮し、4万台を増産する。一方、小型車に強い日本の3強はトヨタ自動車と日産自動車が微減。ホンダも1.3%増にとどまった。韓国・現代自動車(起亜自動車含む)は3.8%減った。
過去に米新車販売が1700万台を超えたのは00年、01年の2年間だけ。金融危機直後の09年には1043万台にまで落ちたが、6年間でこれまでのピークに近づいた。
歴史的な低金利が新車販売を押し上げている面もある。米調査会社エクスペリアンによると、直近の新車購入時の平均ローン金額は、1台あたり2万8711ドル(約356万円)で過去最高だ。金融政策の動向次第では販売が落ちる懸念も残る。