神戸市にあるスーパーコンピューター「京」が今年3月、雨水によって電気系統の一部がショートして停電し、丸1日停止していたことが6日、関係者への取材で分かった。計算が一時止まったが、データの消失や本体の故障はなく、現在は通常通り稼働している。
運用する理化学研究所計算科学研究機構によると、京の一般利用が始まった2012年9月以降、ソフトウエアの障害で停止したことはあったが、停電による設備障害が原因の停止は初めて。
同機構の担当者は「想定していない状況だったが、原因は特定できており、再発防止策のめども立ったので今後の運用に影響はない」と話す。
停電が起きたのは3月17日午前4時ごろ。関西電力からの電力とガスで自家発電した電力が合流して京に供給する装置が入った箱に雨水が入り、ショートして破損した。装置の熱を外に逃がすファンの設計に不備があり、空気と共に雨水が内側に入り込んだという。
安全装置が作動し、京を操作するシステムや、計算したデータを保存するシステムなど周辺機器への電力が止まり、全て停止した。京本体も止めて再起動し、3月18日午前3時ごろに復旧した。
現在は予備の回路を使って電力を供給しており、6月中旬にはショートした機器の修理が終わるという。〔共同〕
▼スパコン「京」 2006年に政府主導で開発が始まり、12年6月に完成したスーパーコンピューター。開発費は約1110億円。約100個の中央演算処理装置(CPU)を内蔵した冷蔵庫ほどの大きさの計算機864台をネットワークでつなぎ、複雑な計算を分担しながら並列処理する仕組み。計算速度は毎秒1京回(京は兆の1万倍)を超える。〔共同〕