【北京=共同】中国湖北省荊州市監利県の長江(揚子江)で転覆した客船「東方之星」の張順文船長が6日までに「左舷からの風の勢いが突然強まりバランスを崩した。左かじを最大限きったが、風の力に対応できなかった」と当時の状況を証言した。新華社が伝えた。
楊忠権機関長は「甲板をパトロールして機関室に戻ったところ、大量の水が流れ込んで照明が消えた。この瞬間に転覆すると思った」と新華社に話した。
張氏によると、事故直前は風速3~8メートルだった。船の速度を上げることで対応しようとしていたと説明した。
張氏は転覆間際に脱出して救助され、楊氏も助かった。2人は当局に拘束され、取り調べを受けている。取材を受けた時の様子などは不明。
中国メディアによると、張氏は1963年生まれ。17歳の時から船舶業界で働き、東方之星の船長をこれまで7年間務めてきた。同船職員として乗り合わせていた妻は今も行方不明という。
救助された旅行会社の男性スタッフも「大雨による水が右側の客室に流れ込み、乗客らはぬれた布団やテレビをロビーに運び出していた」と述べた。
湖北省政府などによると、東方之星は右に急旋回した後、左舷側からまともに竜巻による暴風を受け、急激に右側に傾き転覆したとしている。