【ニューヨーク=稲井創一】米メディア大手、21世紀フォックス創業者で「メディア王」の異名を取るルパート・マードック氏(84)が、早ければ年内にも最高経営責任者(CEO)から退任する見通しとなった。米ウォール・ストリート・ジャーナルなど複数メディアが11日に伝えた。後継者は次男のジェームズ・マードック氏(42)が有力だという。巨大メディア王国の世襲が着々と進んできた。
21世紀フォックスは映画やテレビなど娯楽部門を手がけ、マードック氏が率いるメディアグループの中核企業。昨年にはジェームズ氏を共同最高執行責任者(COO)に昇格させ、世襲に向け布石を打ってきた。
米メディアによるとマードック氏はCEOから退任するものの、引き続きフォックス社の会長として残るという。ジェームズ氏の後見役としてフォックス社の世襲を盤石にしたい考えだ。
グループのもう一方の中核会社で、新聞・出版事業を担当するニューズ・コーポレーションについては、昨年、長男のラクラン・マードック氏が非常勤の共同会長に就任した。世襲人事はニューズ社の株主などからの批判が根強いものの、今回の人事でマードック氏はメディア王国の世襲を鮮明にした格好だ。