自民党の財政再建に関する特命委員会(委員長・稲田朋美政調会長)は12日午後、政府が6月末にまとめる財政健全化計画の提言となる最終報告書の取りまとめに向けた議論を実施した。最終報告書では、2020年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)を黒字化する財政健全化目標の達成に向け、社会保障費の抑制策に重点を置く。経済再生ケースを達成しても20年度に残る見込みの9.4兆円のPB赤字を巡り、歳出改革中心に収支改善を進めるよう提言する。その上で「歳出額そのものに着目した目標を設定することも必要」との考えを示す。
政府の経済財政諮問会議は、18年度にPB赤字を国内総生産(GDP)比1%程度に縮小する中間目標を定める一方、歳出削減額は記さない方針。特命委は18年度での歳出削減額の目標を設定する考え方を示し、諮問会議の議論とは方向性が異なっている。特命委の最終報告書は16日の総務会で了承を得た後、首相官邸に提出する見通し。稲田委員長は12日の委員会冒頭、「あてにならない成長をあてにして、あまごいをしてPB黒字を達成させるとか、そういう話ではなく、きちっと道筋を立てていくことが私たちの責任ではないか」と述べた。
特命委は、財政健全化に向けた具体策を検討する目的で2月に発足。歳出削減額を設定する特命委の方針を巡っては、甘利明経済財政・再生相が12日朝の閣議後の記者会見で「経済成長と無関係に歳出を縛るのは論理矛盾」と反論していた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕