【ニューヨーク=稲井創一】米メディア大手の21世紀フォックスは16日、創業者のルパート・マードック氏が最高経営責任者(CEO)を退任し、次男のジェームズ氏が7月1日付で新CEOに就任する人事を発表した。マードック氏は長男のラクラン氏とともにフォックスの執行を担う会長職に就き、新CEOの後見役を務める。
ルパート・マードック氏は16日「長期に安定的な指導体制の確立は何よりも優先されるべきもので、今回の一連の人事はその目的を達成するものである」とのコメントを発表した。ジェームズ氏にフォックスの枢要部門を経験させ、世襲人事に布石を打ってきた。
ジェームズ氏はこれまで欧州やアジアのトップのほかにドイツやイタリアなどの関連企業の会長などを歴任した。デジタル技術にも精通し、早くから後継者と目されていた。傘下の英国大衆紙での電話盗聴事件で批判の矢面に立たされ、後継候補から外れたとの見方も浮上した時期もあったが、マードック氏は世襲人事にこだわった。