中国日報のベテラン記者・米国人エリック・二ルソンさん(中国語名・聶子瑞さん)が登場する報道動画が近年、各種ニューメディアのプラットフォームで話題となり、クリック回数が1億回に上っている。そして、中国のネットユーザーから、親しみを込めて「アメリカ人のお兄さん」と呼ばれている。中国日報が報じた。
2016 年、当時33歳だったエリックさんは、史上最も若い「中国政府友誼賞」の受賞者となった。同賞は、中国政府が中国の社会や経済発展に多大な貢献をした外国人専門家を表彰する最高の賞となっている。
「2006年当時、本当は中国には1年しか滞在しない予定だったが、意外にもずっと中国を離れることなくここにいる」と話すエリックさんは、この十数年にわたり、第一線で、中国で起きていることを伝えてきた。また、中国というこの土地に馴染み、暮らしている。
そんな、エリックさんはこのほど、自身が中国で経験したことを濃縮した一冊の本「CLOSER TO HEAVEN ——A global nomad’s journey through China’s poverty alleviation」を刊行した。
米国人の視点から記録した中国
エリックさんはハンセン病の村に足を運んだだけでなく、地球上で最も標高が高く「第三極」と呼ばれるチベット高原で、牧畜民と寝食を共にし、その過程で、ダチョウに乗り、ヤクの乳搾りをし、さらに、ヤクのフンを回収する作業も体験した。
エリックさんの旅は四川省から始まった。2008 年の四川大地震の死者と行方不明者は約9万人に上った。被災地に15回にわたり足を運んで取材する過程で、エリックさんは、地理的環境と貧困がもたらした悲劇を乗り越えて、救援と復興活動が行われていき、多くの人の命が失われたこの地で、人々が希望を見いだす様子を目にした。
続いて、エリックさんはチベット高原に足を運んだ。そして、そこで、中国が非常に厳しい自然環境などの不利な要素を克服し、わずか数年間で想像できないほどの繁栄をもたらした様子を目撃した。そして、ボランティア活動を始め、電気の通っていない高原の学校にソーラーパネルを設置した。その後、パソコンや図書館、薬品、石炭、衣料品、さまざまな設備なども寄贈したほか、身体障碍者の子供が手術を受けることができるよう支援したり、義足や車いすを提供したり、貧しい牧畜民の家庭で育つ子供が大学に通えるよう援助したりもした。
次に、エリックさんは中国の各省を巡り、貴州の農村地域のバーチャル・リアリティテーマパークや内蒙古(内モンゴル)自治区の牧畜民のエミュー農場など、多種多様な貧困者支援プロジェクトを調査した。
そして、最後に、改革開放が、どのように、中国の貧困者支援の奇跡を実現したかを、しみじみと感じることのできる旅を経験した。例えば、天秤棒で荷物を担ぎ、徒歩で運ぶ荷担ぎの「棒棒軍」を体験したり、高齢者の「バイククラブ」に参加して、バイクの旅を経験したり、5週間かけて長江経済ベルト沿岸数千キロの11都市を訪問したりした。
同書の中国版の翻訳者・劉浚さんは、エリックさんと長年の交友があり、「翻訳者の言葉」の中で、「中国について内容の濃い報道をしながら、彼は中国語をマスターしたほか、たくさんの友たちもできた。エリックさん自身が語るように、彼は、単なる傍観者、記述者としてではなく、貧しい人に向けて何かしらの行動をするために、重要な一歩を踏み出している。そのため、この本は特に読む人を感動させ、強いインパクトを与えてくれる」と綴っている。(編集KN)
「人民網日本語版」2021年1月26日