京都大学と米国立衛生研究所(NIH)などの研究チームは1日、重い貧血である再生不良性貧血の患者が、治療後に白血病を発症するリスクにかかわる遺伝子8つを特定したと発表した。予後を予測した上で治療方針を立てることが可能になりそうだ。
成果は米臨床医学誌のニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載された。
再生不良性貧血は、免疫細胞が血液を作る細胞を破壊するために起きる血液の難病。約半年の治療を終えても、10年以内に約3割の人が、白血病または白血病の前段階である骨髄異形成症候群になる。
研究チームは米国の患者256人の血液細胞を取り、白血病に関わるとされる106個の遺伝子の変異を調べた。
その結果、血液細胞などの分化を制御する「DNMT3A」など5つの遺伝子のどれかに変異があると、白血病やその前段階の骨髄異形成症候群を10年以内に発症する確率が通常の3割から4割に高まることがわかった。反対に赤血球の機能にかかわる「PIGA」など3つの遺伝子のどれかに変異があると、発症率は数%に低下した。
再生不良性貧血は毎年100万人あたり8人程度が発症する。遺伝子から予後を予測できれば、適切な治療計画が立てやすくなる。