太平洋戦争末期の沖縄戦で傷病者の看護のために動員され、136人が犠牲になった「ひめゆり学徒隊」の生存者ら8人が11日、沖縄県糸満市などの戦跡をめぐり参加者に戦争体験を語った。今年は戦後70年の節目にあたるため、1995年以来、20年ぶりに実施した。県内外から参加した64人は真剣な表情で元学徒の証言に耳を傾けた。
元学徒らと参加者はバスで南風原町の陸軍病院跡、学徒の一部が自決した糸満市の荒崎海岸などを見学。当時、親友が砲弾で壁にたたきつけられて亡くなるのを目の当たりにした元学徒の与那覇百子さん(87)は「人間はこんな形で死んでしまうのか。戦争の恐ろしさに震えた」と語った。
ひめゆり平和祈念資料館館長、島袋淑子さん(87)は米軍の猛攻撃で日本軍が突然、学徒隊に解散命令を出し、看護活動にあたっていた壕の外に追い出された体験を説明。「大けがをした友達を残して『ごめんね、ごめんね』と言いながら逃げた。心の中にトゲが刺さっている」と話した。
広島市の大学教授、岡本貞雄さん(63)は「沖縄戦を知る方からできる限り体験を聞きたい」と参加。那覇市の会社員、宮平るり子さん(50)は「学徒の方は当時10代だったと考えると胸が痛む。戦争は絶対にやってはいけない」と話した。