【ワシントン=吉野直也】オバマ米大統領は4日、ホワイトハウスでサウジアラビアのサルマン国王と会談し、欧米など6カ国とイランの核合意に理解を求めた。サルマン国王は支持を明言した。両首脳は中東の過激派組織「イスラム国」(IS)掃討などテロとの戦いで連携を強める方針も確認した。
4日、ホワイトハウスでオバマ米大統領(右)と会談するサウジアラビアのサルマン国王=ロイター
サルマン国王の訪米は今年1月の即位後初めてで、両首脳の会談は2回目となる。国王は5月、オバマ氏がワシントン郊外の山荘キャンプデービッドに湾岸協力会議(GCC)6カ国の指導者を招いた際、直前に欠席を通知した。米イラン接近への不快感の表明と受け止められた。
オバマ氏は今回のサルマン国王との会談を米サウジ関係の修復の一環と位置付ける。イラン核合意を巡っては米議会でオバマ氏の拒否権を覆すだけの票数が集まらない見通しになった。イランと対立する湾岸諸国の盟主サウジの首脳から支持を取り付けたことで、国内外で合意履行への環境が整うことになる。
米サウジが発表した共同声明には(1)政治、経済、軍事分野などで戦略的な関係を強化する(2)海上安全保障、サイバー攻撃からの防御、弾道ミサイル防衛で協力を拡大する(3)パレスチナ自治政府とイスラエルの和平交渉を後押しする――などを盛り込んだ。
内戦が続くシリア情勢での連携やISと戦うイラクのアバディ首相を支える立場も打ち出した。オバマ氏はサルマン国王との会談の冒頭、ISの蛮行を念頭に「中東が困難な時期にあるのは明らかだ」と訴えた。