英ロイター通信によると、国連安保理は先日、イランに対する武器禁輸措置を延長する米国提出の決議案の採決を行った。可決には少なくとも9票の支持が必要だが、14日に発表された結果によると、決議案は米国とドミニカ共和国のみが賛成し、英仏独など米国の同盟国を含む11か国が棄権し、中露が反対したため否決された。人民日報海外版が伝えた。
中国の張軍国連大使は採決直後の発言で「中国側は国際社会と共にイラン核問題の政治的解決を後押しする。米側の決議案は実質的に対イラン制裁の再開、イランに対する『最大限の圧力』という米国の政策の継続であり、最終合意の精神と相いれず、第2231号決議の規定と符合せず、法的根拠を欠き正当性がない。安保理構成国の圧倒的多数が米側の決議案を支持しなかった。対話と協議を堅持して外交努力を行うことがイラン核問題解決の唯一の正しい道だ」と表明した。
■一方的行為で自ら孤立
イラン外務省のムサビ報道官はSNSで「75年間の国連の歴史において、かつてなかった孤立に米国は直面している」と指摘した。
「採決の結果は、対イラン武器禁輸措置の延長という米国提出の決議案が支持を得ず、米国の伝統的同盟国である欧州各国でさえ態度を保留したことを示している」。復旦大学国際問題研究院の孫徳剛研究員は取材にこう語った。
「2018年にトランプ政権は国際社会の一致した反対を顧みず、イラン核合意からの離脱を一方的に宣言した。これによって事実上、この問題における発言権を失い、主導権を発揮するのはなおさらに難しくなった」。孫氏は「米国の一国主義政策は国際社会から歓迎されず、自らを孤立させるだけだ」と指摘した。
■覇権主義が同盟国の怒りを買う
「国連安保理の5常任理事国は対イラン武器禁輸問題において分裂し、三大陣営を形成した」。孫氏の分析によると、米国はイランに対する「最大限の圧力」の観点から武器禁輸措置を捉え、イランの軍事的近代化を遅らせて軍事力を制限しようとしているため、禁輸措置の維持に力の限りを尽くした。中露はイランが安保理第2231号決議を履行していることを認め、イラン核問題において公平性と正義を堅持しているため、武器禁輸措置の延長に反対している。仏英独は米国から圧力を受けており、イランの戦略的意図に疑念や懸念を抱く一方で、武器禁輸措置の維持によってイランが核合意から離脱することを懸念している。また、将来のイランの軍事的近代化の過程において利益を得ることを望んでおり、ロシアなど非西側の大国がイランとの武器貿易を独占するのは望まないため、棄権を選んだ。
「仏英独など欧州諸国のイラン核問題における関心の柱は中東地域の安定維持にある。欧州諸国は米国がイラン核合意を履行し、大国としての役割を発揮して、中東の安定と秩序を維持することを望んでいる。武器禁輸措置を延長してイランを刺激し、中東地域の対立を劇化させるのではなくだ。中東地域の対立激化は、難民問題など直接的な利益の損害を欧州地域にもたらす。欧州諸国が今回米国の側につかなかったのは、度々イランを利用して中東情勢をかき乱す米国の行為に賛同せず、こうした米国の行為が自らの国益と符合しないからだ」と、中国国際問題研究院国際戦略研究所の蘇暁暉副所長は指摘した。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年8月18日