春節(旧正月、今年は2月12日)は中国人にとって1年の中で一番大事な祝日。特に故郷を離れて就学や就職している人たちにとって、春節休暇は久しぶりに家族と会える貴重なひと時でもある。しかし、今年は新型コロナ感染予防・抑制から、中国国内の各地では「今いるところで年越し」の呼びかけが行われ、帰省やUターン、旅行による人の流動が抑制された。そんな今年の春節を人々はどのように過ごしたのだろうか?人民網が伝えた。
今いるところで年越しとは?
「原地過年(今いるところで年越し)」とは現在の居住地で春節の年越しをすることを指す。強制ではないものの、各地では地方政府や企業などが優遇措置や様々なサービスなどの提供を行うことで、呼びかけに応えて帰省しないこれらの人々をサポートした。
なかでも経済的な余裕があまり無い出稼ぎ労働者に対しては、臨時の宿泊施設の提供や景勝地の入場料免除などの支援を行って帰省を抑制する一方で、途中停車しない特別列車を運行するなどして、感染リスクを下げるなどの対策がとられた。
どんな風に過ごした?
年越し前から各ネットショッピングサイトでは大々的な年越しセールが始まり、今年は「春節期間中も営業」を掲げたネットショップが目立った。また、人々の買い求める年越し用品のラインナップからも、例年とは異なる年越しとなったことが見てとれた。特に帰省できない独身の若者たちにとっては、ペットが最大の慰めになっており、ペット関連商品の売り上げが急増。ペットの年越し衣装から年越し用特製ペットフードまでペットと共に過ごす春節を楽しむためのグッズが人気を集めた。
また、近場の旅行や映画なども春節連休の新たな過ごし方として人気となり、映画の興行収入は春節連休期間中だけで78億2200万元(約1282億円)という史上最高記録を更新する勢いを見せた。
何を食べて過ごした?
大晦日の夜に食べる「年夜飯(年越し料理)」だけでなく、テレビを見たり、おしゃべりを楽しみながらつまむおやつやフルーツなど、春節に美味しい食べ物は欠かせない。今年はレストランでの会食は例年に比べると減った一方で、調理済み食品や半調理品による年越し料理ギフトパックが人気に。また、帰省しない若者たちは春節期間中もデリバリーやネットショップを活用し、様々なグルメを楽しんだ。
例年と大きく異なったのは、帰省しない若者にむけて、田舎の両親が「故郷の味」を届ける現象が見られたこと。大都市に向けた小包の発送数が2割ほど増え、なかでも甘粛や貴州、重慶など出稼ぎが多い土地からの小包の発送数の増加が目立っており、貴州の漬物・酸菜や湖南省の燻製肉、重慶のトウガラシ、雲南のハムなどが人々が羨む「故郷の味」となった。
今年の春節は、昨年に比べて人々の新型コロナ感染予防・抑制に対する理解と協力がより明確に示された春節となった。世界的な感染状況だけでなく、中国国内でも散発的に生じる感染など、まだまだ先が見えない新型コロナだが、様々な規制や不便がある中でも、春節を楽しもうとする人々の前向きな姿に、勇気づけられるものを感じた。(文・イラスト・玄番登史江、袁蒙)。
イラストで知ろう!イマドキ中国
人民網ではもっと身近なスタイルで今どきの中国を読者の皆さんに知ってもらうため、「つるにはまるまるむし爺さん」と「へのへのもへ郎」、「へめへめくつ美」の3人が流行語やカルチャー、時事問題など幅広いジャンルにおける「イマドキ」を紹介。中国ってこんな国なんだ!と興味を抱き、理解を深めるきっかけにしてみてください。