日銀が17日発表した2015年4~6月期の資金循環統計(速報)によると、15年6月末の家計金融資産は前年同月比4.4%増の1717兆円だった。19四半期連続の増加で、統計をさかのぼれる1997年12月以降で最高となった。
金融資産の約半分を占める現金・預金が34四半期連続で増えた。賃金上昇や株式・投資信託などの評価額上昇が寄与した。投資信託の保有残高は19.5%増の98兆円と過去最高を更新した。債券の保有残高は28四半期連続で減少した。個人向け国債の償還が影響した。
民間企業の金融負債のうち借入残高(簿価ベース)は349兆円で、前年比1.1%増だった。増加率は3月末(同0.8%増)から上昇した。ただ「昨年は前年比1%半ば~2%程度の増加を維持しており、足元で企業の資金調達の動きに鈍さが見られる」(日銀の調査統計局)という。
民間企業が保有する金融資産のうち、現金・預金の残高は6.6%増の243兆円だった。27四半期連続で増加した。
国債の保有者の内訳をみると、6月末時点で日銀は前年比37.3%増の295兆円と過去最高を更新した。日銀の量的・質的金融緩和による大規模な国債買い入れオペ(公開市場操作)が寄与した。保有主体別にみた国債保有シェアは、日銀が14年3月末以降、1位となっている。
一方、企業年金など年金基金部門の保有残高は35兆円と、前年比0.4%減だった。前年比マイナスになるのは11年1~3月期(同0.4%減)以来だった。厚生年金基金の減少などが影響した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕