鬼怒川の堤防決壊で大きな被害を受けた茨城県常総市には、全国各地から多くの救援物資とともに激励の手紙が寄せられている。「希望を忘れないで」「休める時に休んでください」。避難生活を送る被災者や災害対応に身を削る市職員らを励ましている。
「いっぱいつかってね」。幼い子どもが書いたと思われるいびつで大きな文字の手紙。自宅が浸水し、同市の水海道総合体育館にスリッパや長靴を受け取りに来た避難者の主婦(34)は長女(5)と一緒に読み「一生懸命に書いてくれたんだね。うれしくて涙が出るね」と感謝した。
体育館に届いた飲食料品や日用雑貨、衣類などの物資に添えられた激励のメッセージは、20日までに200件を超えた。物資とともに体育館の一角に置いてある。
東日本大震災の被災者からも。宮城県石巻市の仮設住宅に住む女性は「人ごとに思えず、何かしたく、わずかですが生活の手助けに」とつづりつつ「体には気を付けて」と気遣った。
福島県北塩原村の「裏磐梯観光協会」の職員らはトラックで常総市を訪れ、タオルや電池を届けた。東京電力福島第1原発事故の風評被害で観光客は減ったが、茨城県の学校が教育旅行で訪れてくれたことを忘れていなかった。森井宣行会長(49)は「ご恩を少しでもお返しできたら。困った時はお互いさまです」。
災害対応で市役所に段ボールを敷いて泊まった市職員、桜井秋博さん(41)は「励みになります。疲れもありますが、さらに頑張れる」と前を向いた。〔共同〕