「報告書が出たので、けじめをつける判断をした。組織としての結果責任を負うべきだ」。25日午前、文部科学省で開かれた閣議後の記者会見。下村博文文部科学相はやや紅潮した顔で辞任を申し出た理由を説明した。省内や東京都庁には波紋が広がり、「もっと早くやめるべきだった」と冷ややかな声も聞かれた。
下村氏は会見で「(第三者委員会の)報告書を受けてから判断した」「責任を取ってけじめをつけたということ」と繰り返し説明。24日に報告書を受け取った直後には「(報告書に自身の)進退問題について提言されているわけではない」と辞任を否定していたが、25日の会見では「色々な観点から考えて結論を出した」と述べた。
省内には波紋が広がった。ある職員は「給与返上で区切りをつけると思っていた」と意外そうな表情。一方で10月に予定される内閣改造での交代が以前からささやかれていただけに「いわば『既定路線』。影響はほとんどない」と話す職員もいた。
一方、2020年五輪開催都市の東京都の担当者らは「寝耳に水。全然知らなかった」と一様に驚きの声を上げた。
新国立競技場の費用負担をめぐり、下村文科相と舛添要一知事との間で意見が割れ、事務方の協議まで中断した時期もあった。ある都庁幹部は「もっと早くやめていれば、新国立競技場の問題もここまでこじれることはなかった」と冷ややかだった。