日本チェーンストア協会が21日発表した9月の全国スーパー売上高は全店ベースで1兆380億円だった。既存店ベースでは前年同月比2.9%増と6カ月連続で前年を上回った。農産品を中心とした食料品がけん引した。15年1~9月の累計でも0.7%増と同期の前年比では19年ぶりにプラスとなった。
単月の既存店売上高が6カ月連続で前年を上回るのは、26カ月連続プラスだった1990年4月~1992年5月以来23年ぶりの長期記録となる。9月実績の部門別では食料品が3.7%増、衣料品が2.1%増、住関連品が1.5%増だった。客数は0.3%減ったものの、客単価は3.8%増えた。
同協会の井上淳専務理事は「足元の実績は悪くない。日常の消費は堅調だ」と話した。9月の大型連休中も客足はよく、賃金増や雇用の改善、ガソリン安などが後押しして消費が回復傾向にあることを示唆しているという。一方で「長かったデフレの影響もあり販売の現場は消費の先行きには慎重な見方が強い」としている。
政府が、2017年4月に消費税率を8%から10%に引き上げるのと同時に食料品などの税率を据え置く軽減税率を導入する検討に入ったことについては、「高単価の食料品を購入する高所得者に比べ低所得者に対する恩恵は少ない。社会保障の財源も減る」(井上専務理事)として導入反対の姿勢を示した。同協会は消費者の負担軽減策について「所得に応じた税の還付などが望ましいのでは」としている。〔日経QUICKニュース(NQN)〕