三回表日本2死一、二塁、左越えに勝ち越し本塁打を放った中田は打球の方向を見ながら走り出す=川村直子撮影
(12日、WBC2次リーグE組 日本―オランダ)
柔と剛を織り交ぜた攻撃で、難敵バンデンハークを早い降板に追いやった。同点の三回2死一、二塁。5番・中田がスライダーをたたくと、滞空時間の長い打球が左翼席に飛び込んだ。
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「チャンスで点を取ることだけを考え、集中して打席に入りました」。1次リーグの豪州戦、中国戦に続く3試合連続アーチ。WBCの日本選手では2試合連続が最高だった。中田対バンデンハークの対戦は、2季で18打数4安打。「誰がどう見てもいい投手」と認める右腕から、新記録を打ち立てる一発を放った。
打線に大リーガーをそろえるオランダの弱点は投手陣。球数制限が80球に増える2次ラウンドの初戦で、長いイニングを期待されたバンデンハークを3回5失点、65球で退かせた。中田の3ランは決定打になったが、そこまでの日本らしい攻めも見逃せない。
バンデンハークは走者を背負っての投球に課題がある。昨季は盗塁を13度企図され、全て成功された。日本の稲葉打撃コーチは「足を絡めた攻撃をしたい」と言い、俊足の田中、秋山を先発起用。一塁走者が出れば、ほぼ全員がスタートを切るふりをして揺さぶった。二回は先頭の中田の二塁打から、坂本勇の犠打などで1死二、三塁。秋山が犠飛を打ち上げ、1安打でホームまでたどり着いた。
しつこく攻めて、ここぞの場面は一発で仕留める。日本にとっては理想的な序盤の攻撃だった。(伊藤雅哉)