児童虐待の疑いで、大阪府警が児童相談所に通告した18歳未満の子どもは昨年、8536人と3年連続で全国最多だった。前年から3割以上増え、児童虐待防止法の施行(2000年)以降で最も多かった。
警察から児相へ虐待通告、初の5万人超 心理的虐待7割
府警が15日に発表した。少年課によると、子どもに対する殺人(未遂を含む)、傷害(同致死を含む)、暴行などの容疑で逮捕・書類送検された人数も88人(前年比26人増)と、統計を取り始めた02年以降で最多。内訳では実父(37人)、実母(24人)、内縁の夫(12人)の順で多かった。虐待で死亡した子は計8人。0歳が3人、1歳が1人、3歳と6歳が各2人だった。
通告の約7割を、直接の暴力ではない「心理的虐待」(6010人)が占めた。うち4350人については、配偶者らへの暴力・暴言といったDV(ドメスティックバイオレンス)が原因だった。子どもの面前でなくても、家庭内に子どもがいる時のDVは、通告対象になっている。
ほかには、暴行などの「身体的虐待」が1647人(前年比316人増)▽育児放棄などの「怠慢・拒否」が855人(同57人増)▽「性的虐待」が24人(同12人増)だった。
少年課の小林俊夫調査官は「児童虐待への世間の関心が高まり、警察としても積極的に児相に通告するようになっている」と話す。府警は4月に児童虐待対策室を新設し、児相などとの情報共有も強化する。(伊藤喜之)