【フランクフルト＝加藤貴行】独シーメンスは３日、欧州のＩＴ（情報技術）サービス大手、仏アトスとの提携拡大を発表した。アトスがシーメンスグループの通信サービス合弁会社を３億４千万ユーロ（約450億円）買収する一方、シーメンスは共同でクラウドサービスなどを加速する。シーメンスは米ゼネラル・エレクトリック（ＧＥ）や日本の同業に遅れていたＩＴ部門で巻き返す。

シーメンスは2010年に自社のＩＴサービス部門をアトスに売却し、同時に同社の株式を取得した。現在は同社株の12％を保有しており、今回、21年まで同社の筆頭株主にとどまることで合意した。事業面でのアトスがシーメンス向けのサービスを増やすほか、共同で外部の顧客開拓を進める。

アトスは、シーメンスと米投資会社ゴレス・グループとの合弁会社、独ユニファイを買収する。シーメンスグループのＩＴ関連事業をアトスに集約する形になる。

シーメンスは製造業のネットワーク化を図るドイツの産官学の取り組み「インダストリー4.0」の代表的な企業だが、ＩＴ部門が同業者に比べて手薄だった。アトスとの提携強化で補完する。