王毅国務委員兼外交部長(外相)が24、25両日に菅義偉首相ら日本政府の要人と会談した。新型コロナウイルス感染症が未だ収束せず、地域の経済・貿易協力が重大な進展を得る中、双方は中日関係の安定化という戦略的基調を再確認しただけでなく、5つの重要な共通認識と6つの具体的成果にいたった。今後両国関係が改善と発展を持続できるか否かは、現在の複雑な国際環境下における双方の政治的選択にかかっている。全体的に見ると、中日関係は以下の三大試練と三大チャンスに直面している。(文:呂耀東・中国社会科学院日本研究所研究員、謝若初・国際関係学院国際政治学部学者。環球時報掲載)
■試練1
戦略的相互信頼が依然不足している。菅内閣は、中日関係の構築と安定化の重要性を繰り返し強調しており、「対中包囲網の形勢」を理由とする「アジア版NATO」の創設も明確に拒否しているものの、他国との二国間関係を発展させる過程において、中国を念頭に置いた動きが時々ある。こうした二面的姿勢が、中日間の戦略的相互信頼の増進を妨げてきた。
■試練2
相手国に対する国民感情の悪化。今月17日に公表された第16回北京ー東京フォーラム「中日関係世論調査」の結果によると、中国では日本に対して肯定的印象を抱いている回答者が45.2%だった。これと際立って対照的に、日本では中国に対して否定的印象を抱いている回答者が89.7%にも上り、昨年と比べて5ポイント上昇した。
■試練3
米国要因の影響。米国は経済や安全保障の分野で意図的に中国との摩擦を引き起こすことで、日本が同盟国の米国へと傾き、対中関係を消極的姿勢で扱うという事態を招いている。また、防衛責任の分担などの措置を実施することで、日本に軍事力の向上を突破口に地域における影響力の拡大を図らせて、地政学的隣国である中日間に摩擦のリスクを生じさせている。
だが、こうした試練はあるが、それでも今後双方は以下の3つの面で積極的にチャンスを探り、中日関係の健全で安定した前向きな発展を推進し続けることが可能だ。
▽チャンス1
経済・貿易協力の強化。中日間の経済協力の発展は政治・安全保障分野における両国間の緊張緩和に資する。地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が正式に締結されたことにつれて、いかにしてその早期発効を推進し、さらに中日韓自由貿易協定(FTA)交渉及び地域協力のプロセスを積極的に推進するかが、世界で最大規模の自由貿易圏の成否に関わってくる。
▽チャンス2
感染症への共同対策。新型コロナウイルス感染症の流行初期、両国民は「山川域を異にすれども、風月天を同じうす」との精神に呼応する形で、新型コロナとの闘いにおいて積極的に連動した。この時期に引き続き感染拡大を厳格に防いだうえで必要な人的往来の「ファストレーン」を始動し、経済活動の再開を促進することで、共に困難を克服し、友好の新たな章を綴る両国の知恵と決意がはっきりと示されることは間違いない。
▽チャンス3
力を合わせて重要なイベントを成し遂げる。今後2年で、中日は第32回夏季オリンピック競技大会(東京)、第24回冬季オリンピック競技大会(北京)という2つの大行事を相次いで開催するほか、国交正常化50周年も迎える。これを機に、勢いに乗じて人的・文化的な交流や協力を拡大し、国民間の友好的感情を増進し、両国関係及び民意の環境をさらに改善することは、時宜にかなったことと言えるだろう。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年11月30日