ネット上でコンピューターウイルスを入手したり、サイバー攻撃を仕掛けたりして摘発される少年は後を絶たない。背景にはサイバー犯罪の道具を安価に入手できる「闇サイト」の存在がある。
今年8月、神奈川県在住の18歳の少年が、パソコン内のデータをロックして金銭を要求する「身代金要求型ウイルス」の作成ツールを保管していたとして、不正指令電磁的記録保管の疑いで警視庁に書類送検された。
同庁によると、少年は海外サイトで作成ツールを仮想通貨ビットコインで購入。別のサイバー攻撃用のソフトもネット上で購入していたという。「少年にプログラミングなどの専門知識はなかった」(捜査関係者)。
昨年9月にはオンラインゲームの運営会社に大量のサイバー攻撃を仕掛けたとして、高校1年の少年が電子計算機損壊等業務妨害の疑いで警視庁に書類送検された。少年はゲームの運営方法に不満をもち、月額8ドルで攻撃を代行する海外サイトを使っていたという。
警察庁によると、コンピューター犯罪の代表例であるネットバンキングの不正送金被害は今年上半期(1~6月)で15億4400万円。過去最悪だった昨年上期より約17%減った一方、下期に比べると約46%増と、高水準で推移している。
セキュリティー大手、トレンドマイクロによると、ネットバンキングの不正送金や遠隔操作に使う不正ソフトは、海外のサイトで数年前から数百~数千円で取引されている。同社の鰆目順介シニアスペシャリストは「少年は罪の意識が希薄で、安易に手を出しやすい。倫理教育だけでなく、犯罪を助長するサイトを根絶する努力が必要だ」と話している。