政府は4日夕、首相官邸で経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)を開いた。民間議員は、名目国内総生産(GDP)を2020年度ごろに600兆円に高める目標の実現に向けた具体策の原案を示した。14年度のGDP(491兆円)と比べ、目標達成には約110兆円の増額が必要。増額分の60兆円強は現在1%に満たない潜在成長率を2%程度に高めて賄う。残りの50兆円弱は、賃金・物価上昇や原油安による交易条件改善などで上積みする。
潜在成長率の改善には、環太平洋経済連携協定(TPP)による大幅なプラス効果を見込んでいる。規制改革などを通じ生産性を向上。新幹線といったインフラ受注は10年の10兆円が30兆円に増えるとみる。農水産品や中堅・中小企業からの輸出も増やす。訪日外国人による消費も大きく増やし、14年に1341万人だった訪日客数は3000万人~4000万人程度に拡大。訪日客消費は2兆円(14年)から5~8兆円引き上げ、年7~10兆円とする。設備投資は10兆円超の拡大を目指す。人口減による労働力不足の対応として、働く女性や高齢者などを500万人程度増やす。
民間議員はこのほか、統計委員会に対して、経済統計の改善について「早急に検討し、来春までに方針を整理すべきだ」との方針も示した。家計調査で高齢者の回答割合が多い点や、毎月勤労統計で数年に1度のサンプル替えの際に過去データの修正幅が大きいことなどを挙げ、それぞれ経済動向の的確な捕捉に向けて改善を求めた。10月16日の諮問会議では麻生太郎財務相が両統計の課題を指摘していた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕