国外からミャンマーへの投資は、軍事政権が民政移管へとかじを切る直前の小さなブーム以降、次第に減少している。中国との関係の冷え込み、やっかいなビジネス環境や依然として続く制裁措置が、新たな商業的フロンティアの足を引っ張る。
外国からの商業上の関心は、2011年3月に政治体制が変わる前より首尾一貫しており多様だ。しかし、アジア戦略上の玄関口となったシンガポールからの投資は、激減した中国からの投資を完全に埋めるに至っていない。
■民政移管後の投資の入り口はシンガポール
8日に歴史的な総選挙を控え、同国での事業には淡い期待もある。その半面、それが公式な数字には表れていないのも事実だ。
「多くの人々がミャンマーをとても悲観的に見ている」とFTIコンサルティングの上級役員で同国を注視するロマン・カイヨー氏は言う。「しかし、一部の人の懸念は大きすぎた。ミャンマーはそれほど悪い状態だったわけではない」
11年3月に民政移管によってテイン・セイン氏が大統領に就任した後の4年間で、国外からの直接投資は190億ドルをわずかに超えた。公式な発表によると、これは軍事政権下最後の12カ月間の総額である200億ドルを下回る。
民政移管前の金額の70%以上は中国本土と香港からの投資だった。しかし、ミャンマー政府が11年後半に中国が支援するミッソンダム建設の凍結を予想に反して決定した後、この数字は15%以下に落ち込み、その影響は依然として残っている。
中国からの投資は減ったが、国外からの直接投資は現在、年間で数十億ドル規模であり、民政移管前の10~11年に駆け込みで契約が結ばれた以前の規模を大幅に上回る。
フォスター電機はティラワでスピーカーを生産する
(民政移管後の国外からの投資の)入り口はシンガポールとなっており、14年および15年の年初来の投資額の過半を占めている。これはシンガポールの個人情報保護などの法制が企業を引き付けているからだ。
公式なデータからは読み取れない重要な動向はほかにもある。例えば日本では、政府機関が開発を支援していることからミャンマーへの商業的な関心が高まっている。政府が支援するヤンゴンの南東に位置するティラワ経済特区(SEZ)には、自動車部品や衣料品メーカーなど数十の日本企業が進出を決めている。
公式な数字からは、英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ、コカ・コーラ、ハイネケンなど消費財産業を主とする大企業以外は欧米企業の数値も読み取れない。
ギャップやH&Mなどの衣料品メーカーはミャンマーから調達しており、英コンサルティング会社のアビア・ソリューションズはミャンマーの国営航空会社の再生と同国初の国際線の就航を目指している。