【NQNニューヨーク=神能淳志】5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に続落した。終値は前日比4ドル15セント(0.0%)安の1万7863ドル43セントだった。年内の米利上げ観測が強まるなか、米金融政策の先行きを占う雇用統計の発表を翌日に控えて市場は様子見ムードが強かった。ダウ平均は前日の終値を挟んでもみ合う場面が多かった。
朝方は米株式相場の買いが優勢だった。ドイツなど欧州主要国の株価指数が上昇していたため、投資家心理が好転し、米株式の買いを誘った。7~9月期の米労働生産性指数が市場予想に反して改善するなど、米景気の先行きに対する不透明感が和らいだことも相場の支えとなった。
もっとも、米株式相場は上値も重かった。米連邦準備理事会(FRB)による年内利上げを警戒し、米長期金利が上昇の勢いを強めた。外国為替市場では円やユーロなどの主要通貨に対するドル高が一段と進み、米企業業績への悪影響も懸念された。
イエレンFRB議長が4日の議会証言で12月の利上げの可能性を改めて示唆。5日は年内の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策決定の投票権を持つアトランタ連銀のロックハート総裁も利上げの開始時期が近いとの認識を示すなど市場でも改めて年内利上げ観測が強まっている。
6日発表される10月の米雇用統計が改善を示せばFRBは年内の利上げに動きやすくなるとみられている。結果を見極めたい投資家も多く持ち高を積極的に一方向に傾ける動きは限られた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続落し、前日比14.741ポイント(0.3%)安の5127.738で終えた。前日公表した業績見通しが慎重と受け止められたクアルコムが急落するなど半導体株の下げが指数を押し下げた。
業種別S&P500種株価指数は全10業種のうち7業種が下げた。「エネルギー」や「ヘルスケア」「IT(情報技術)」などが下落。一方で「一般消費財・サービス」や「金融」などが上げた。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約9億株(速報値)、ナスダック市場は約20億1000万株(同)だった。
個別銘柄では電力大手のデューク・エナジーが安い。取引開始前に発表した2015年7~9月期の決算で業績が市場予想に届かなかったことが嫌気された。原油安などを背景にシェブロンやエクソンモービルなどの石油大手が売られて指数を押し下げた。IBMや製薬のメルク、日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)なども下げた。
一方で、フェイスブックが高い。前日夕に発表した四半期決算で業績が市場予想を上回ったほか、目標株価を引き上げた証券会社が相次いだことも買い材料視された。上場来高値を更新し、時価総額は3000億ドル台に乗せた。
5日発表した四半期決算が市場予想ほど悪化しなかった衣料品大手のラルフローレンが急伸したほか、最終損益が黒字に転じた高級服飾のケイト・スペードも買われた。ユナイテッドヘルス・グループやクレジットカードのビザ、スポーツ用品のナイキなどが上げた。