旭化成(3407)が6日発表した2015年4~9月期の連結決算は、純利益が前年同期比5%減の471億円だった。エレクトロニクス事業で業績が悪化したほか、事業構造改革の費用を計上したため。訴訟損失引当金として29億円の繰り入れも利益を押し下げた。ただ、傘下の旭化成建材が各地の建物で杭(くい)打ち工事のデータを改ざんした問題の影響については、現時点で合理的に見積もることが困難として業績予想に反映していない。アナリスト予想の平均であるQUICKコンセンサス(10月28日時点、5社)の486億円は下回った。
売上高は1%減の9574億円、営業利益は19%増の844億円だった。セグメント別にみると、ケミカル・繊維部門は46%の増益。主力の石油化学系事業で、原燃料価格の下落により交易条件が改善。市況悪化の影響を上回り利益を大きく押し上げた。住宅・建材部門は、まだ旭化成建材を巡る問題を織り込んでいないものの6%の減益だった。
16年3月期通期の業績予想は、純利益を前期比14%減の910億円に下方修正した。従来予想は微増の1060億円で、一転して減益になる。持ち分法適用会社の業績悪化や、改革費用の計上を反映した。売上高は1%増の2兆円、営業利益は4%増の1640億円とする従来予想を据え置いた。年間配当は前期比1円増の20円を予定している。〔日経QUICKニュース(NQN)〕