楽天の球団職員から引退記念の花束を受け取った後藤(左)=仙台市宮城野区
■スコアの余白
「トライアウトでなんとか現役続行の道を模索したが、至らなかった。すごく寂しい」。楽天の内野手、後藤光尊(38)は10日に本拠のKoboパーク宮城であった引退会見で、胸中を素直に言葉にした。
スコアの余白
秋田県出身で、2002年にドラフト10巡目でオリックスに入団。当時はまだ近鉄と合併する前で、「ブルーウェーブ」と呼ばれていた。二塁、遊撃手で高いレベルの守備を誇り、11年にプロ9人目の全打順本塁打も記録した。175センチ、75キロながらパワーのある打撃が持ち味。手を抜かずに基礎練習を繰り返す模範的な存在で、10年にはオリックスで主将も務めた。
「(プロに)入ってからが勝負だと思っていた。一本のヒットを打つために積み重ねてきた努力は誇りに思う」。笑顔で振り返った一方、チームに貢献しきれなかったという思いもあるという。所属球団の最高成績はオリックス時代の08年の2位で、あとはBクラス。「優勝や日本一に全く縁がなかった。そういう経験をしてみたかった」
そんな38歳はもう、第二の野球人生を歩み始めた。球団のベースボールスクールのジュニアコーチだ。引退会見から1時間後には、さっそく就任会見に臨んだ。「投げること一つにしても、正しくやればうまくなる。小さな成功体験を提供していきたい」。15年間のプロ生活を「基本の積み重ね」と表現したその手腕が、今から楽しみだ。