【イスタンブール=島田学】トルコ訪問中の安倍晋三首相は13日夕(日本時間14日未明)、イスタンブールでエルドアン大統領と会談し、経済連携協定(EPA)交渉を推進することで一致した。大統領は「食料や農産品の日本への輸出はまだまだ潜在力がある」と述べ、農産品の輸出拡大に期待を示した。首相は「貿易、投資関係の一層の強化を進めたい」と強調した。
共同記者発表を終え、握手するトルコのエルドアン大統領(左)と安倍首相=8日夜、首相官邸
大統領は「日本はアジア太平洋で最も重要なパートナーだ」と強調。トルコでのインフラ事業を日本と進めたいとした。首相は「日本企業がトルコのインフラ事業に今後も積極的に参加、貢献できるよう期待したい」と述べ、インフラ事業での協力を強めていく方針を示した。
日本企業も参加する黒海沿岸シノップでの原子力発電所の建設事業について、首相が「2023年の運転開始という大統領の希望を実現するために着実に進めていきたい」と強調。大統領も「原発への期待は日に日に高まっている」と応じた。
シリアなどから難民が欧州に流入している問題をめぐり、15日に始まる20カ国・地域(G20)首脳会議でテロや難民対策で首脳が強いメッセージを出すべきだとの認識で一致した。大統領はG20首脳会議で、各国に財政面を含む負担の共有を呼びかける考えを示した。
首相が大統領と会談するのは5度目で、10月にも大統領が来日して会談している。今回も大統領はG20首脳会議に参加する首脳で唯一、首相とだけ事前に会談。会談中も首相のことを何度も「親友」と呼ぶなど親密ぶりがうかがわれた。