安倍晋三首相は19日夜、大阪市長を退任した橋下徹氏と都内のホテルで食事を共にしながら約3時間半会談した。橋下氏が政界引退後も影響力を持つ新党「おおさか維新の会」との協力に関して話し合い、憲法改正についても意見交換したとみられる。首相側には、来年1月4日召集の通常国会や来年夏の参院選を見据え、野党勢力を分断したい思惑がある。
橋下前大阪市長との会談を終え、ホテルを出る安倍首相(19日午後、東京都千代田区)
首相と橋下氏の会談は6月14日以来。橋下氏は12月18日に退任しており、首相は会談に先立ち記者団に「慰労会だ。ご苦労さまと言いたい」と語った。菅義偉官房長官とおおさか維新代表の松井一郎大阪府知事が同席した。おおさか維新と首相官邸の親密な関係を改めて印象づけた。
関係者によると今回の会談は、橋下氏が大阪を「副首都」にする政策や統治機構改革のための憲法改正を念頭に「おおさか維新の綱領や政策を首相に直接説明したい」と松井氏に相談。松井氏の申し出を受けた菅氏が首相に「忘年会をかねて橋下さんを慰労しましょうか」と相談し実現した。
橋下氏はこれまで「来年夏の参院選で自民、公明両党とおおさか維新で3分の2の議席をめざし、改憲の体制をつくる」と述べ、安倍政権がめざす憲法改正に協力する方針を示している。
ただ与党内には、おおさか維新への警戒感が漂う。橋下氏が率いる地域政党「大阪維新の会」が2勝した11月の大阪府知事・市長ダブル選挙では、自民党支持層を大きく切り崩されたとの分析もある。自民党幹部は「近畿圏では油断できない」と語る。