【カイロ=共同】内戦が続くシリアの北西部イドリブで20日朝、ロシア軍とみられる軍用機による空爆があり、シリア反体制派のメディアによると約50人が死亡、約170人が負傷した。救助当局によると、戦闘員のほか女性や子どもを含む多数の民間人も犠牲となった。
イドリブは反体制派とイスラム過激派が掌握しており、9月30日に軍事介入したロシア軍がシリアのアサド政権軍と連携して空爆を続けているが、1日に50人もの死者が出るのは異例。民間人の巻き添え被害がさらに拡大すれば、ロシアに対する批判が高まる可能性がある。
アサド政権軍は10月以降、ロシア軍の空爆支援を受けて北部アレッポなどでも攻勢を拡大。20日にはアレッポ近郊で戦略的に重要な拠点をイスラム過激派から奪回した。ただ軍事的な成功の一方で、民間人の巻き添え被害が伝えられる例が増えている。
20日の空爆はイドリブ市内で少なくとも5回実施された。ロイター通信によると、市場や政府庁舎、住宅街なども対象となった。
シリアでは、ロシアのほか米国主導の有志国連合軍やフランス軍、アサド政権軍も空爆を続けている。住民らは軍用機のエンジン音などで、どの国の機体か識別できると証言している。