天皇ご一家は1日、新年を迎えられた。天皇陛下は年頭にあたっての所感を宮内庁を通じて文書で公表された。東日本大震災からまもなく5年を迎えるが、いまだに地元に戻れない人々や仮設住宅で暮らす人々がいることを案じ、「被災地域の復興が少しでもはかどるよう、願っています」とつづられた。
陛下は「日本は誠に美しい自然に恵まれる一方、自然災害を受けやすい環境」と指摘し、「今年も日本人一人ひとりが防災の心を培うとともに、お互いが気を付け合って、身を守る努力を続けられることを心より希望しています」と記された。
戦後70年の節目だった昨年は「多くの人々が先の戦争に思いを致した一年でした」と振り返り、「改めて国と人々の平安を祈念します」と述べられた。
天皇、皇后両陛下は今月26~30日、国交正常化60周年を迎えたフィリピンを公式訪問される。同国は太平洋戦争の激戦地でもあり、両陛下は両国の戦没者を慰霊される。
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宮内庁は新年にあたり、天皇陛下と皇后さまが昨年詠まれた歌計5首を発表した。
【天皇陛下】
〈戦後七十年に当たり、北原尾(きたはらお)、千振(ちふり)、大日向(おおひなた)の開拓地を訪(と)ふ〉
開拓の日々いかばかり難(かた)かりしを面(おも)穏やかに人らの語る
〈新嘗祭近く〉
この年もあがたあがたの田の実りもたらさるるをうれしく受くる
【皇后さま】
〈石巻線の全線開通〉
春風も沿ひて走らむこの朝(あした)女川(をながは)駅を始発車いでぬ
〈ペリリュー島訪問〉
逝(ゆ)きし人の御霊(みたま)かと見つむパラオなる海上を飛ぶ白きアジサシ
〈YS11より五十三年を経し今年〉
国産のジェット機がけふ飛ぶといふこの秋空の青深き中