国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門開門に反対する干拓地営農者らは8日、開門差し止めを求めた訴訟で、長崎地裁(松葉佐隆之裁判長)から打診されていた和解協議に参加すると回答した。営農者側の弁護団が明らかにした。農林水産省も参加を表明。近く地裁が和解案を示し、22日に開く進行協議で話し合いを始める見通しとなった。
国はこれまで、営農者の反対を理由に協議に難色を示していた。訴訟で国側に補助参加する開門賛成派の漁業者は、協議入りに賛成していた。
営農者側弁護団は理由について、書面で「(営農者側だけが)協議の場に着くことをかたくなに拒絶する姿勢をとっていると誤解を招き、本意ではない」と説明。松葉佐裁判長が昨年11月、開門差し止め仮処分決定を維持する決定を出した点も挙げた。その上で、「開門しない前提の和解でなければ応じられない」と和解案に条件を付けた。
漁業者側の馬奈木昭雄弁護団長は協議入りを歓迎した一方、「開門しない前提なら、何も譲歩していないのと同じ」と批判した。
農水省の担当者は取材に「開門派と反対派の双方が協議の場に着くことで、解決につながると期待している」と話した。
開門差し止め訴訟は昨年10月に結審。国が開門を強制しないよう求めた訴訟で福岡高裁が和解勧告したのを受け、長崎地裁も協議入りを促していた。〔共同〕